Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
むほん
一
「そんなまだはッきりしたことじゃァねえんだ。――決った話じゃァねえんだ。」
にべもなく、かれの、はき出すようにそういったその言葉のかげに救うことの出来ない心弱さがあり/\かくれていた。――かれはちろりを取上げていそいでまた猪口を一ぱいにした。
「……が、だれがいなくなったって俺はいる。――俺だけはそばにいる。」
すぐに言葉を継いで半ば自分にいうようにかれはいった。――と一しょにかれは目蓋のうらの熱くなるのを感じた。
「おい、つけてくれ、あとを……」
……遠く霜にひゞく火の番の金棒の音。――更けることの早い冬の夜である。
むほん
一
……これよりさき「菊の家」で「お前、それを何の金と思うんだ?」とだしぬけにそう小倉にいわれて驚いた田代は、そのあと、由良を捨てゝ若宮の独立する。……由良一座に代って若宮一座というものが出来る。……そうした魂胆の、そうしたむほんの企ての着々運ばれていることを聞いてさらに一層おどろいた。――しかもその若宮一座の顔づけのなかに自分も入っている、ちゃんともう自分の名前も一枚入っていると聞かされるに及んでいよ/\かれはおどろいた。――驚いたというよりあっけにとられた。