Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
九
」
「吉沢に? ――どうしてまた吉沢が……?」
「西巻に聞いて来たんだ。」
「どうして? ――どうして金平さんが? ――可笑しいじゃァないか、そんな……」
「ちッとも可笑しかァねえ、どこからかそれを聞くと一しょに西巻は見舞に行ったもんだ。」
「見舞に?」
「いくら犬と猿のような仲でもいざとなれば古い附合だ、三十年来の深馴染だ。……菱川のほうはどうでも、西巻にすれば、あゝいう男だ、矢っ張どこか心細い気もするだろう。」
「みていねえ、チョコにもしものことがあれば誰よりもさき泪をこぼすのは金平だから……」
ふいとそばから三浦はいった。
間もなく三人は境内の寂しい木の間をもと来た道のつゞきへ出た。ぽつんと一けんだけそこに立った小さなペンキ塗の西洋館について曲るとそこはだら/\と低くなった坂だった。――片側は高い石垣の、日のさゝない、暗い、ヒッソリした道のうえに冬の名残の落葉が小砂利まじりに堆かった。
「しかし、それ……」しばらくしてまた田代はいった。「脳溢血かしら、ほんとうに?」
「どうして?」
「矢っ張、それ、いくらか若宮君のことを神経に……とでもいうんじゃァないかしら、それ?」