Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんでい

春泥・三の酉

久保田 万太郎

Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

九

の主人はいった。

「あたくしより三つ上ですから二で……」

「と、来年三十三……?」

「そうなります。」

「で、どこかお悪い……ということもべつに?」

「えゝ、それは。――ほッそりしているわりには丈夫な方で……たゞとき/″\、どうかすると寝られない。――夜よく眠れない。――そういっちゃァよく、そのほうの薬を飲んでおるようですが……」

「あんまり、それは、詰めてものをお考えに……」

「そうなんで。――あんまりものを深く考えすぎるんで。――あんまり気を細かにつかいすぎるんで。――師匠もそれは始終心配しておるんですが。」

「役者なんてものはお天気のほうがいゝんだ。」

……と、そのとき、どう思ったか小倉が口を出した。

「お天気の?」

「そうよ、お前のようによ。」

おもむろに小倉は蟹で汚した指を拭いた。

九

「いや、これは、すっかりお饒舌をしてしまって……」

おもい出したようにそういって「うたむら」の主人の立上ったのはそれから間もなくだった。

「お帰りですか?」

田代はやゝ名残の尽きないかたちにいった。

「でももう、あなた、四時になります。」「うたむら」の主人はしまった時計をもう一度出して「今日は、実は、昼まえからうちを出ておりますんで。