Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんでい

春泥・三の酉

久保田 万太郎

Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

十

「いま話す。――話すから、もっと、――もっと何か喰べないか?」

「酷く気前がいゝんだな?」

「いゝんだとも。――心得ているんだから、今日は……」

「大した景気だな。」

「景気だとも。――お金は小判というものをたァんともっておりまする、だ。」田代は全くの浮れ拍子に「姐や、おい、熱いのを。――それと、なんでもいゝ、親方にそういってうめえものを……」

十

小倉はだまってしばらく田代の顔をみていたが、

「帰らねえんだな、まだ?」

いきなり吐出すようにいった。

「何が?」

田代はキョトンとした顔をふり向けた。

「いゝえよ、帰らねえんだろう、この間ッから?」

「…………」

急に田代は声を上げてわらった。

「どうだ、そうだろう?」

「さァ来た、熱いのが……」田代はそれにこたえず、小女の銅壺から出して来た銚子をうけとると小倉のまえの猪口と自分のまえの猪口とについだ。

「あれは十五日だから、十六、十七、十八、十九、――四日じゃァねえか、今日で?」小倉はいっそ憫むように「一しょか、三浦も?」

「一しょさ、みんな。」

「みんな一しょ? ――と、西巻もか?」

「金平さんが先棒をふったんだ。――慶ちゃんだってあたしだってそんな料簡は毛頭なかったんだ。