Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
しかしこの新潟の女たちの旅は、伊勢に参るというのが心ざしで、国境の番所までは、年老いたる男に送られて来ている。江戸・大阪の浄瑠璃に出てくる抱え遊女は、駆落ちの際でもなければ外へは出ぬものになっていたが、地方は近頃までかなりの自由があったらしい。現に越前三国の某という遊女俳人が、江戸に出て来て昔馴染の家を、遊びまわったという話などは、是からまた百年も後のことである。多くの遊女は旅をして遠くからやって来ている。ただ我々が珍しいと思うのは、彼らの四五人が群をなして、いわゆる田舎わたらいをしていたという点である。是は単純なる旅行ではなかったのである。
田舎わたらいという語は、たしか『源氏』の夕顔の巻にも見えている。京の小民はもうあの頃から、秋の収穫の豊かな頃を窺って、農村を稼ぎまわって儲けて還る色々の道を知っていた。それが現在までなお続いているのである。我々の地方文化はその刺戟を受けて、坐ながらにして変り改まり、またみずから展開する力を養い得たことは、この頃になってだんだんと、是を証明する実例が指示せられることになった。国の全貌を昔のままでなく、好くも悪くも新しいものにして外部の力、空に吹き散る花粉や胞子のごときものの中に、かつてはこのきわめて温柔なる女性の一群も参加して、しかもつい近頃までその機能を発揮してい