Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
五
主婦の方でもそう毎度相手と飲む酒盛りが家にあっても困るので、名義の穏当不穏当などは問わず、一人で飲んでくれることを喜んだのであろう。こういう有難くもない名を附けられて苦笑しながらも、なお晩飯には一本つけて貰って、頭を叩いて飲んでいたというのも、結局は酒があまりにうまく、かつて人々と集まって飲んだ味が忘れられなくて、何の祝賀でも記念でもなく、また嬉しくも悲しくもない日にも、飲みたくなるような習癖を生じたからで、一つにはまた買おうと思えば夜中にも、すぐに入用の量が得られるような、便利な世の中になったためでもある。神代の昔から、酒と名のつくものが日本に有ったからと言って、昔の人たちもこの通りに、女房の承認のもとにちょっとばかりの酒を、毎晩飲んでいたと思うと大まちがいである。
五
証拠を挙げることはやや困難になったが、中世以前の酒は今よりもずっとまずかったものと私たちは思っている。それを飲む目的は味よりも主として酔うため、むつかしい語で言うと、酒のもたらす異常心理を経験したいためで、神々にもこれをささげ、その氏子も一同でこれを飲んだのは、つまりはこの陶然たる心境を共同にしたい望みからであった。