Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もめんいぜんのこと

木綿以前の事

柳田 国男

Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme

Aozora Bunko

五

是を苦々しいことだと思う人ならば、溯ってこの山伏の歴史をもう少し細かに考える必要があったのである。

五

俳諧は日本にたった一つ、今も我々の保養のために残っている有閑文学である。それをそのような俗な研究に利用するのはけしからぬという人があるか知らぬが、私においてはそれがほとんとただ一つの未来に続くべき俳諧の功業のように思える。独り山伏の問題のみと言わず、他にもまだ幾つかの前代社会の特質が、今はこの感銘に充ちたる記録に由ってのみ、辛うじて尋ねて行かれるという世の中になっているのである。たとえば常人が往々口にしていた風流と野暮との差別なども、是が無かったらもう知りようが無いのであるが、それはあまりに皮肉だから強いて説かない。いわゆる神釈の句の中でも、人が尊重していた遁世の味、たとえば「道心の起りは花の蕾む時」といったような、髪を剃る前後の複雑した感覚、或いは「露霜の小村に鉦を叩き入る」という念仏旅行者の物悲しさ、さては万日千日の群衆心理、里の祭の日にばかり蘇った童心など、説いてみ考えてみたいことは色々ある。しかしそれは何れも皆似たり寄ったりの方法で、つまりはこの節の川柳研究家の程度にまで、せめて我々が連句を鑑賞するならば判ってくることである。