Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
二
こういった方法を少しずつ勧説してみたいと私は思っている。是は衣料がこの頃のように、短い期間で変って行く場合にはできない仕事だが、幸いなことには前代の変遷は遅々としており、国人にもまた親々の仕来りを、守ろうという念がずっと強かった。そのためにいわゆる開けない世の姿が、なお片端には残っていた。それが今ちょうど消え尽そうとしているのである。
二
衣服の嗜好はこの二三十年の間に、我々の目前においても著しく変った。普通人の生活で言えば、手織物と称する不細工でしかも丈夫な織物は、都会ではほとんと影を斂めて、いわゆる紡績の糸で織ったつやのある木綿ばかりが、田舎へまでも行き渡っている。是は国内の各地方に棉の栽培が衰えたために、糸紡ぎや綿繰りが、もう尋常農家の手業でなくなった結果である。
しかもこのもめん綿というものそれ自身、我邦における歴史は短いのである。千年の昔、崑崙人の船が三河の海岸に漂着した時に、その船の中には棉の種子があったということが、歴史の上には見えているけれども、その時の棉はまだ広く全国には普及しなかったようで、実際に各地で栽培が始まったのは三百年、南蛮との交通よりも早いとは考えられない。