Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
三
屁をコクとか嘘をコクとかいう下品な詞が暗示しているように、つまりは狭いところを無理に通して、附いているものを落そうという行為であった。過去何千年かの日本の稲扱きは、まさしくこの目的をもって簡単な二本の竹切れを合わせ立て、その間から稲穂を引きしごいて、籾を落していたのである。江戸期も末になるまでの三世相とか女大学とかの家庭用書の口絵には、幾らでもそういう農業の図が出ていて、実は自分などの少年の頃にはしばしばこれを見て実際の作業ぶりと、あまりに違っているのを不思議に思った次第であった。
三
この扱箸の使用はいかにも能率の挙がらぬ方法であったので、久しい以前から徐々に改良が企てられていた。例えば佐渡でもコキバシという名だけはあって、実際はすでに百年以上も前から、竹または鉄の小さな管を左の手の二本の指にはめて、それで挟んで稲の穂を扱く道具になっていた。僅かならが是も改良であった証拠には、始めからこういう装置であったら、箸という名が付けられる道理はないのである。しかもかくのごとき微小なる発明でも、やはり山路海辺を伝わって、弘くその恩恵を流布させていたかと思われる。