Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
千年の久しきに亘って我々の使い馴れていた二本箸の稲扱器を、一朝にして改良した所以のものは何であったか。外部の原因は或いはただ偶然の遭遇に過ぎなかったとしても、内にあって働いた動機ははたして何に基づいたかという問題である。地方により村によって事情も区々であったろうが、大体から言うと二つの点がまず考えられる。その一つは労力の改良、すなわち少しでも価値の多い労働をしたい。同じ働くにも楽しみが多く苦痛が少なく、且つその効果を多くしようという希望である。是は大昔から今の世の中までを一貫した潮流であり、また社会を今日の文化にまで推し進めた動力であって、それが個人主義・資本主義の発生成長に、大いなる便宜を付与したと謂っても、強ちに憎み賤しむことのできぬほど、大切なる人類の成長素であった。実は是あるがために社会の未来は、今でもまだ楽観することができると謂ってよい。我々の思索が解放せられ、我々の経験が或る程度まで集積すると、まず今までの盲目なる辛労が、大部分は省略し得るものであったことに、心づくことは誠に自然である。骨惜しみは現在でもなお悪徳の中に算えられるが、しかし無駄働きということも、また夙くから忌み嫌われていたのである。