Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
私は近年島の流人の生活というものを考えてみているが、俳諧の方ではただ芭蕉翁のみが、二百何十年も以前に早くもこの問題の隠れたる隅々を知っていた。我翁が島に渡り、または赦免に逢うて戻って来た人と、親しい交遊をしていたことはまだ聞かぬが、すくなくとも連句にしばしば咏歎せられている島の生活だけは写生であり、しかも私の見たところでは、三宅か八丈かとにかくに伊豆の島々のうちであった。空で想像したものとは思われぬのである。島流しの境遇は今でいうエキゾチックであり、且つその多くは江戸人のなれの果で、下に人情の通いがあった。俳諧の題材として有用であったことは、旅や隠者や遊里の生活にも勝るものがあったろうと思うが、それにしたところでその情景を予て心に貯えて、毎度程よき場合にこれを出して使ったということは、たとえようもなく床しい修養であった。元禄の俳諧に含まれている民俗史料の価値は、こうした点からでもこれを高く評価してよいと思う。それで沢山の例句は引くこともできぬが、爰には私たちの一読して、どうしていつのまにこんな事を知っておられたかと、びっくりした二つ三つを載せてこの篇を終ることにする。