Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
一つの特徴は真面目なものに対する対立、わざとではあるが、真似そこないのおかしみであった。自分の力が足らずして、すぐれた人のする通りをしようとしてできぬことを示すもので、私などは是を自嘲の笑いと名づけている。これを能くする者には実は才智の衆に秀でた男が多かったのである。すなわち人を笑わせる職分のために、最も上手に韜晦する者の技芸であった。トボケルと今ならば謂うところで、古くはシレル・シレモノと謂い、それから移ってジラコクまたはジラなどともなり、戯れという語も是とよほど近かった。笑いの最も夙く芸術化したものということができる。
是が我邦において人の言語と行為の、とくに厳粛なものに附随していたことは、多分は国がらの然らしむるところで、人類共通の一般習性ではなかったろうと私は思う。狂言というものの起こり、すなわち正式なる儀礼の後にすぐ引続いて、それを間ちがえ真似そこない、もしくはまるまる縁の無い愚かな所作をして見せて、観衆を大いに笑わせるという演技法は奇抜なものだが、私などから見ると、是は対照によって前の正しいものの印象を深め、且つ誤るということの不利損失を覚らしめるのが本来の目的で、つまりは笑われることを怖れる人情を利用した設計のようである。