Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
すなわち輿迎えということは、いずれ早晩しなければならぬことであるが、それは男の家に新たな主婦が入用になった時のことで、その前は子どもが生まれても妻はなお実家にいたのである。伊豆の島などはほんの近い頃までそれが普通の習わしで、婚姻の式は夫の家に来て挙げても、式が終ると嫁様は里の方へ行ってしまう。そうして毎日朝だけ来て水を汲み、薪を採って一荷ずつ持ってくる。この状態が時としては三年も続くことがあったと聴いている。すなわち朝々の水と薪以外は、里方の用をしていたのである。島には大体に古い仕来りが残るものと見えて、対馬でも種子島でも、この最初の足入れの日には、嫁はふだん着のままで来るという話が多い。そうして舅姑の葬式の日に、始めて一世一代の晴着をすると、ここでも謂いまた伊豆大島でも謂っていた。すなわちこの日が主婦の就任式であったのである。荷物なども最初の足入れにはちっとも持ってこず、みな親の家に置いてあって、五年七年の間にぽつぽつと持ってくるという土地も、島々ばかりではなかった。そのかわりには堅い昔風の家では、嫁が土蔵に入ることを許さなかったというところが、近江の高島郡にもある。