Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
沖に、煙草色の帆を張った、一艘の南蛮船がかかっている。
敦賀津の港でもありません、三国港でもありません、甚だ漠としていますが、確かにあの辺の海浜です、煙草色の帆を張った南蛮ぶねは、お蝶をのせて白い海波の果てに消えたのです。――それを見送ってから、山岳切支丹族のともがらも、祈祷の後に、附近の山へちりぢりばらばら蜘蛛の子のように立ち去りました。
「どうだ釘勘、追いかけては」
「ウーム、もう目明しの繩じゃ届きません」
「だが、ふしぎにわしは気が軽くなった。もう夜光の短刀も欲しゅうない。帰りにはひとつ、信州路の大名を訪ねて、何かまた、タネになるような秘密を拾ってやろうか」
「およしなさいまし、また三年も苦労をしちゃ、あなたはともかく、この釘勘がたまりません」
砂山の砂をくずしながら、ふたりの旅人は、その晩の宿をさがしに帰りました。