Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
崎浜は汽船の着く浦浜からまた一里二十五町ある。蝉の鳴く日盛りの山を、二つ越えて行かねばならぬ。それにまたここの端舟のおそいことはどうだ。客も手伝って無暗に喚ぶと、畠に出ていたかと思われる屯田船頭が、泡を食って漕いでくる。下りる荷物が二十三個でその半分が米、三分の一はサイダーや東北正宗の壜詰、それから客が一人、その客はもう小舟に飛び込み、うねりの中でしきりと積み下しの手伝いをしている。どうしても人を貨物に殉ぜしむる航路と見えた。
少なくとも二者の取り扱いは同等であった。幸いにして多数が吐くほど酔ったからよいが、お昼の入港が夕飯まで遅れても、船には売っている食物もなかった。またお茶の道具もないという。子持ちの女が幽霊のような声で、時々ボーイさんを呼んでいたが、水はついにくれなかった。特等室にはさすがに水の壜が一つある。そうしてコップはない。あきれたものだ。
これじゃむしろ荷物になって、しっかりと縛られてきたほうがよかったかと思うと、彼らは必ずしもさほど偏頗でなかった。荷物にもやはり敵はあった。船員がやってきてハッチの蓋を揚げ、不意に明るい日影がさっと差し込むと、お伽話で聞くような声でチュウチュウと鳴き、船底を駆けあるくものがある。