Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
赤井は日頃H教授に睨まれているし、野崎はひどく成績が悪そうだし、三人のなかでは比較的成績のましだと思われる豹一がH教授訪問の役に当ったのである。その役を果さぬうちはやはり帰れなかった。
「実は赤井と野崎のことなんですが、先生の独逸語の成績がひどく悪いらしいのです。――二学期はわりに良く出来たんですが、一学期の点が悪いんです。他の科目は注意点を免れましたが、先生の点だけが、――独逸語で落第しそうなんです。なんとか及第点にしてやっていただけないでしょうか」
考えていた言葉をやっとの想いで言って、H教授の顔を見上ると、H教授は薄気味わるく笑っていた。二学期の成績が良かったという豹一の言葉がおかしかったのである。二、三日前答案を採点していた時、H教授は三人の答案が一字一句違わないことを発見して、あきれてしまった。赤井と野崎が豹一の答案を写したに違いないと思った。三人の中では豹一がややましに出来るのだった。H教授は先ず豹一の点を零点にした。他の二人は一学期の点をそのままつけた。すると三人とも二学期を平均して落第点になった。豹一を零にしたのは、もし及落会議で問題になったら助け舟を出してやるつもりでいたからである。