Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
(オーバーてなんぼ程するのやろか)
しかし、安二郎が声を掛けたのでお君はその思案を中絶しなければならなかった。そして、白い炬燵になった。
豹一は二階で長い欠伸をしていた。精も張もない長い欠伸を虚ろに吐き出している自分がさすがに情けなく、乱暴に洋服を脱ぎ捨てた。そして、蒲団のなかへもぐり込んだ。炬燵が入れてあった。ふっと温いものが足から眼に来た。その拍子に、母親に返辞一つしなかった自分の態度がチリチリ後悔された。
失業したときかすのがいやで、わざと口を利かなかったのだとは、この際良い加減な弁解だった。つまりは、理由もなく口を利く気がしなかったのだ。今日にはじまったことではない。日頃から豹一は安二郎のいる前では母親につとめて口利かず、そんな習慣が出来てしまっていることをひそかに詫びる気持をもちながら、どうすることも出来なかった。そのたび、何か済まない、済まないと思うのだったが、しかし今夜ほどそれが胸をしめつけたことはなかった。気の弱りだろうか、豹一はシンと鼻に泪がたまって来た。
思えば今日の豹一は、たしかに泣きたくなるほどみじめだった。しかし、それだからとて、こっそり泪を流すとは、日頃の豹一の流儀から言えば、だらしがないのだった。