Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

「お切符は……?」豹一は入口でそうきかれた。赧くなった。

「金を取る気か! 取るなら、取れ! 但し、子供は半額だろう?」土門は済ました顔で、入口の女の子にそう言った。

「ああ、お連れさんですか?」女の子は豹一が土門の連れだとわかると、「お二階さん御案内!」と、わざと大きな声で言った。

「いや。階下で結構です。階下の方がなんとなくよく見えますからね」

土門はそう言って、黒い幕のなかへはいった。舞台では「浪人長屋」という時代物の喜劇がはじまっていた。

土門は豹一と並んで席に就くと「一ちゃん!」と呶鳴った。すると、おそろしく長い顔をした浪人者が、舞台の上からきょろきょろ客席の方を見廻した。そして、土門の顔を見つけると、いきなり頭に手をあてて、あっという間に鬘を取ってしまった。観衆はどっと笑った。浪人者は済ました顔で鬘を被り、芝居を続けた。

「あれは中井一というんだ。顔が長いだろう? だから、長井一とよぶ奴もある。僕の親友です」土門は豹一にそう説明した。そして、また呶鳴った。「森凡!」

ひどくしょんぼりした顔の小柄な浪人者が、横眼で土門の方を見て、ウインクした。