Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
じっとそれを見ていると、豹一はなんだか恥しくなって来た。豹一は照れかくしにそのグラスを手に取って、一気にそれを口へ流しこんだ。
「あ!」ジンだった。舌を咽喉をさす強烈な刺戟に、豹一は眼の玉までやけるような気がした。驚いて、下を向き床の上へこっそり吐き出していると、ふっと衣ずれの音がして、生温い女のにおいが閃いた。顔をあげると、白いイヴニングを着た女がすんなりとテーブルの横に立っていた。
(村口多鶴子だな?)と、豹一は直感した。
「やあお待たせしました、村口さんです。――こちらは新聞社の方……」傍についている佐古は器用に掌を使いながら、そう紹介した。
「どうぞよろしく」仮面のように笑いを釘づけながら、村口多鶴子は妙に重みのあるしわがれ声で挨拶した。
「はあ……」豹一は情けないほど小さな声が曖昧に出ただけで、われながらぎこちなかった。なんだか胸がどきどきした。醜態にも酒を吐き出しているところを見つけられたと、眼が霞むほど赧くなってしまった。
「失礼します」と多鶴子はそう言って、豹一の向い側に腰をおろした。微笑の膠着したその顔は明かに、豹一の質問を催促していた。
(いよいよ喋らねばならない!)豹一はテーブルの上の空のグラスを手にとって、神経質に弄んでいた。