Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

北浜二丁目で電車を降りて、東洋新報のビルの方へ歩き出しながら、豹一はさすがに浅ましい気がした。安二郎に渡す必要がなければ、おめおめ日割勘定のサラリーを貰いに行かないだろうと、思った。

ビルの前の掲示板に、その日の夕刊が貼出されてあった。それをちらっと見ると豹一はもはや自分がここの社員ではないということがはっきりと意識され、こそこそと玄関をくぐった。

会計へ出頭して、先月の中頃に退社したものだが、半月だけはたしかに出勤した故、もしや規程でその日割勘定でもらえることになっているのだったら、いま受け取りたいのだがと、半泣きの顔で早口に言うと、会計係は名前をきいて、

「あ、君のサラリーまだだったね。君、やめたの?」

と、言いながら、褐色の俸給袋を渡してくれた。毛利豹一殿と殿をつけて表に書いてあるのを、なにか不思議なくらい鄭重に扱われた気持で気持よく見ながら、玄関を出てから、封を切ってみると、一月分のサラリーがそっくりそのままはいっていた。

豹一はふたたび会計のところへ戻って、なにかの間違いではないかと言った。

「さあ。僕にはわからん、君、まだ辞職届を出してへんかったのとちがうか。