Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

(此の少年は私の反撥心が憎悪に進む一歩手前で食い止めるために、しばしば可愛い花火を打ち揚げる)文学趣味のある紀代子はこう思った。なお、(此の少年は私を愛している)と己惚れた。それを此の少年の口から告白させるのは面白いと思ったので、紀代子は、

「あんた私が好きやろ」

豹一はすっかり狼狽した。こんな質問に答えるべき言葉を用意していなかったのである。また彼は小説本など余り読まなかったから、こんな場合何と答えるべきか、参考にすべきものがなかった。無論、「はい好きです」とは言えなかった。第一、彼は少しも紀代子を好いていないのである。心にもないことを言うのは癪だった。暫く口をもぐもぐさせていたが、やっと、

「嫌いやったら一緒に歩けしまへん」という言葉を考え出して、ほッとした。

「けったいな言い方やなあ。嫌いやのん。それとも好きやの。どっちやの。好きでしょ?」さすがに終りの方は早口だった。豹一は困った。好きでない以上、嫌いだと答えるべきだが、それでは余り打ちこわしだ。

「好きです」小さな声で、「好き」という字をカッコに入れた気持で答えた。紀代子ははじめて、豹一を好きになる気持を自分に許した。