Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
そばでお前に泣かれると、俺ももう我慢ができなくなる。まあ、仕方がない。あきらめろよ。
嫗 どう考え直しても、わたしには我慢もあきらめも付かない。まあ、なんたる情けないことだろう。あんな美しい可愛い娘を……。
翁 もう、もう、止してくれ。後生だから……。無い昔とあきらめてくれ。
嫗 いっそ無い昔なら苦労もなかったろうが、夫婦が四十を越すまで子というものが無いのをかなしんで、弁天様に三七日の願をかけたら、その奇特であんな美しい娘が生まれた。やれ、嬉しやと手塩にかけて生長させ、近いうちに相当の婿を取って、わたし達もまず安心しようと楽しんでいると……。
翁 とんでもない婿が出来た。(つぶやく。)
嫗 ほんとうに、飛んでもない災難が降ってわいて、大事の娘を蛇に取られる。かんがえてもぞっとして身の毛がよだつような。もし、なんとかして娘を助ける工夫は……。ああ、わたしはもう気ちがいになりそうになって来た。
(夫のそばにすり寄る。翁はじっと頭を垂れている。)
翁 まあ、騒いでくれるな。きちがいになるなら、おれの方が先になる筈だ。弁天様にお願い申して出来た子だから、蛇にとり返されるのも自然の約束だろうよ。