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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

彼がいつもの癖で、狐のように左右を窺いながらさやいた。

「お身にちと訊きたいことがある。さりとてこの廊下で立ち話もなるまい。お庭口まで出てたもらぬか。」

「なんの御用でござります。」

「はて、判らぬ人じゃ。ここでは話もならぬというに……。暇は取らせぬ。つい其処まで歩んでおくりゃれ。」

武勇に於いてはあまり頼もしい者とも信用されていないらしいが、小才覚ある奴としてこの頃は主人の覚えめでたい権右衛門が、こうしてわざわざ頼むのを、無下にふり切って逃げる訳にも行かないので、侍従は幾分の不安をいだきながらともかくも誘われて庭に降りると、権右衛門は先きに立ってかれを奥庭の方へ連れて行った。ここも然るべき殿上人の屋形であったのを、去年から新しい主人に横領されたもので、庭の奥には大きい古池が薄月の下に黒く淀んでいた。権右衛門は内の灯のとどかないところまでかれを連れ出して、傘のように枝をひろげている紅葉の立ち木のかげにたたずんだ。

「さて、侍従どの。まず問いたいは、お身は先きのほど何処へまいられた。」

侍従は黙っていると、権右衛門はあざわらうように言った。

「お身、塩冶の屋敷へまいられたか。