Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
どこの城にも、どこの寺にも、今までこんな建物を見たことはなかった。
「城の中にこのような楼閣を築いたのは、日本にただ一つじゃ。」と、男はまた言った。「お身は知るまいが、今から二十幾年の昔、泉州堺の浦に異国の小舟が流れ着いたことがある。舟に乗っていたのは南蛮の人じゃ。無事に陸へは上がったものの、飢えと疲れで三人は死んでしもうた。残る二人はそこらをさまようて、この播州へ入り込んで領主の赤松に捕えられた。赤松も法師じゃで、頼りない南蛮人をむごうは取り扱わず、わが城中に留め置いてねんごろに養うているうちに、かれら二人の勧めにしたがって、新たに築いたのがこの天守閣じゃ。なんのためにこのような高い物を作ったかということはよく判らぬが、まず第一には物見の櫓で、次には日本に二つとないこのような楼閣を築きあげて、何がなしに近国の敵どもをおびやかす計略であったかも知れぬ。あの絶頂に登りつめて瞰おろしたら、四里四方の敵軍は眼の下で、小荷駄を運ぶ馬の鬣毛のそよぐまでもありありと窺わるるのじゃ。それほどの構えをしたこの城に、宗徒の面々が必死となって楯籠ったら、なみなみのことでは攻め落とされまい。