Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
そうして、その灯を高くかざして、何か口のなかに呪文を唱えていると、今までうす暗く顫えていた小さい灯の光りがだんだんに強く燃えあがって、その黄いろい光りは紅くなり、紫になり、青に変わったかと思うと、部屋のなかは月夜のように一面に青白くなった。その青い光りを浴びて、まぼろしのような物の影が正面の壇の前にぼんやりとあらわれたのを、小坂部は眼を据えてじっと透かして見ると、そのまぼろしの姿はどうもかの采女らしく思われた。
「あ、采女……。」
思わず駈け寄ろうとするかれを、男はしずかにさえぎった。
「騒いではならぬ。采女はあのように生きて戻った。さあ、約束じゃ。お身も疑わずに味方になれ。」
言ううちに、まぼろしの姿はいよいよ明かるくなって、采女の白い顔も、だんだら染めの小袖も袴も、たしかにそこに浮き出して来た。小坂部は堪まりかねてまた呼んだ。
「采女……采女……。」
「姫上……」と、まぼろしの采女は低い声で答えた。
「生きて来やったか。死んだは嘘か……。再び生きて戻りましたか……。ほんに生きたか。」
また駈け寄ろうとする小坂部の肩をつかんで、男はひき戻した。
「もう疑うところはあるまい。