Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
三
三
「むむ、見馴れぬ奴。敵か味方か。」と、師泰も油断せずに訊いた。
「敵の、味方の、そのような者でない。」と、黒い影は答えた。「われらはさる人の使いにまいったのじゃ。」
「して、誰の使い……。誰に頼まれた。」と、師直は相手を睨みながら言った。「いずれにしても見馴れぬ奴じゃ。使いの口上、早う申せ。」
なるほど見馴れない筈で、黒い影のぬしは異国の風俗をした眇目の男であった。男は篝火を前にして、恐れげもなく答えた。
「われらはお身の息女に頼まれた。」
「息女……とは誰じゃ。」
「小坂部どのじゃ。」
「小坂部……。」と、師直はその名を呪うように繰り返した。「憎い奴め。かれはわが子でないわ。」
かかる際にも師直は父の権威を傷つけまいとするように、居丈高になって罵った。実際、かれが父や兄の意見に付いて然るべき大名の婿を定めていれば、この場合にも有力な味方を見いだし得るに相違なかった。それだけでも、師直はわが子を憎まずにはいられなかった。まして、塩冶の味方をして、家来の采女と駈落ちをして、権右衛門や新九郎やその他の家来どもに死傷をあたえたかれが不孝不義を数え立てると、師直は跳り上がるほどに腹立たしかった。