Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
を呼んでみようと思いましたけれども、その米友は、相変らず与力同心を相手に槍の気焔を吐いて夢中になっているようですから、気の毒のような心持がして、それで、また三度まで廊下の方へ行ってみました。
お松が廊下を通った時に、廊下の縁の闇の中から、
「お松」
「はい」
自分を呼んだのは、たしかに七兵衛の声です。
「お師匠さんはいるか」
「今、お風呂に……」
「風呂ではあるまい、風呂にはいないはずだ」
「ええ、今ちょっとどこへか……」
「それ見ろ」
七兵衛から、それ見ろと言われてお松はギョッとしました。
「友さんを呼びましょう、御支配のお役人様もおいでなさいますから、お頼み申しましょうか」
こういってあわてると、七兵衛はそれを押えて、
「米友にも役人にも知らせない方がいい、ナニ、百の野郎は痛み所で、身動きも碌にできねえのだから、大したことになりはしめえ、俺がこれから一人で行って捉まえて来る、お前はこのまま座敷へ帰って静かにしているがいい、米友にもやっぱり黙っていた方がいいよ、あいつが下手に騒ぎ出すとまた事壊しだ」
七兵衛は、これだけのことを言い残して、闇の中へ消えて行きました。