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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

茶の間にいた妻を呼んで、相談かたがた理由を話すと、存外物に驚ろかない妻は、あなたがあんまり余計なおしゃべりをなさるからですよと云って、始めはほとんど取り合わなかったが、しまいに、なんで市さんに間違があるもんですか、市さんは年こそ若いが、あなたよりよっぽど分別のある人ですものと、独りで受合っていた。

「すると市蔵の方で、かえっておれの事を心配している訳になるんだね」

「そうですとも、誰だってあなたの懐手ばかりして、舶来のパイプを銜えているところを見れば、心配になりますわ」

そのうち子供が学校から帰って来て、家の中が急に賑やかになったので、市蔵の事はつい忘れたぎり、夕方までとうとう思い出す暇がなかった。そこへ姉が自分の方から突然尋ねて来た時は、僕も覚えず冷りとした。

姉はいつもの通り、家族の集まっている真中に坐って、無沙汰の詫やら、時候の挨拶やらを長々しく妻と交換していた。僕もそこに座を占めたまま動く機会を失った。

「市蔵が明日から旅行するって云うじゃありませんか」と僕は好い加減な時分に聞き出した。

「それについてね……」と姉はやや真面目になって僕の顔を見た。