Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
室は日本橋にある出張所の方から、時々取って来る金などで、どうかこうか不足のない月々の生活を支えていた。母親からそこへ宛てて、内密に送ってよこす着物や手紙の中などに封じ込められた不時の小遣いも、少い額ではなかった。
「ことによったら、僕は東京で一軒家を仮りようかとも思っています。」
室は、病人の枕頭へ来て、自分と家との関係が、初め心配したほど険悪の状態に陥ってもいないという内輪談などするほど、お増に昵んで来た。
「でも田舎の方では、とてもお今を貰ってはくれないでしょう。」
お増は時々訊ねてみた。
「いや、そうでもないですよ。浅井さんという後援者のあることも、知れて来ましたからね。」
「田舎の方の談がつきさえすれば、良人だってうっちゃっておくような人じゃありませんよ。もちろん大したことは出来やしませんけれど、相当なことはするつもりでいるんでしょうよ。」
お増は、ふと東京で懇意になった遠縁続きの男に、自分の身のうえや、生計向きのことまで打ち明けるほど、なつかしみを覚えて来た。
家出した兄を気遣っている妹から来た手紙などを、お増は室から見せられた。その文句は、いきなりに育って来たお増などには、傷々しく思われるくらい、幼々しさと優しさとをもっていた。