Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
右へ曲る角にバーがあって、入口に立てた衝立の横から浅黄の洋服の胴体が一つ見えていたが、中はひっそりとして声はしなかった。
「こっちへ往くのですか」
讓は曲った方へ指をやった。
「このつぎの横町を曲って、ちょっと往ったところです、すみません」
「なに好いのですよ、往きましょう」
路の上が急に暗くなって来た。何人かがこのあたりに見はっていて、故意に門燈のスイッチをひねっているようであった。
「すこし、こっちは、暗いのですよ」
女の声には霧がかかったようになった。
「そうですね」
女はもう何も云わなかった。
※(ローマ数字「III」、1-13-23)
「ここですよ」
蒸し蒸しするような物の底に押し込められているような気もちになっていた讓は、女の声に気が注いて足をとめた。そこにはインキの滲んだような門燈の点いている昔風な屋敷門があった。
「ここですか、では、失礼します」
讓は下宿の女が気になって来た。彼は急いで女と別れようとした。
「失礼ですが、内まで、もうすこしお願いいたしとうございますが」
女の顔は笑っていた。
「そうですか、好いですとも、往きましょう」
左側に耳門があった。