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Japanische Klassiker mit Furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は狂人のようにその辺を切って廻った。

「板女」

庖厨の方に明るい処があった。藤枝は不審に思って入って往った。宵に締めてあった裏口の雨戸が開いて月が射していた。

(板女は裏口から逃げた者だ)

藤枝は裏口へ飛びだした。人影がちらちらと眼前を掠めてそれが裏木戸の辺で消えた。

「板女が逃げた、板女が逃げた」

藤枝は裏木戸を開けて戸外へ出た。

「板女、板女、板女が逃げた」

藤枝の眼前に怪しい人影がまた見えた。

藤枝の声を聞いて集まって来た人びとは、藤枝といっしょになって利根川縁の方へ追って往ったが、女の影はもう見えなかった。一行の足は自然と止ってしまった。月の面に紗のような雲がかかっていた。

二人の旅人がむこうの方から来た。一行の目は皆それに往った。旅人の二人は背の高い年とった男と、壮いずんぐりした男であった。二人とも手荷物を振分けにしていた。

「もし、もし」

と、一行の中の一人が出て往くと旅人は足を止めた。

「怪しい女子を見かけはしなかったろうか」

「怪しい女子と」

と、年とった男が伴の壮い男を揮り返るようにして、

「あれじゃないか」

と、云うと壮い男が、

「そうじゃ、蘆の中へ入った」