Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
「『矢の倉』の先生と、汐見さんと、あなたと三人の名前だけそのなかにないんです。――だから、わたし……」
「菱川はあるのか?」
「ありました、ちゃんと。」
「…………」
「菱川さんの名前がなければ、これは、あなたと二人だけは矢っ張『矢の倉』の先生のところに残る。――そう思いますわ。――けど、菱川さんの名前の出ているのにあなたゞけ。――汐見さんは活動のほうへ行くんだというし……」
「そんなことも出ているのか?」
「えゝ、それは外のところに……」
「そ、そんな箆棒な……」急にかれは遮るようにいった。「何新聞だ、そんな。――あるか、その新聞?」
「あります。――とってあります。」
「みせねえ。――持って来てみせねえ。」
そういうと一しょにかれはちろりを取って猪口のなかをみたした。そうしていそがしくそれを口へ運んだ。――と、そのとき烏賊の墨のようなものが急に身うちにひろがった……
そこにまだいた西崎が立ってすぐそれを持って来た。
「どこへやった、眼鏡?」かれはいつもそこへ入れて置く火鉢の抽斗を掻きまわした。
「入っているでしょう、そこに?」
「入ってねえ。」
「そんなことないでしょう?」