Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lesen Sie 春泥・三の酉 (しゅんでい) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.075 Zeichen · 173 Bildschirme
――果してその一ト幕が評判になり日々見物は突ッかけた。――こと/″\くかれは面目をほどこした。
と、ある日、その日も満員という大した景気の日だったが、いつもの通り十分にその「狂い」をみせたあと、いよ/\という最後のとき、どうした機みかまんまとかれは飛び損った。前方へのめって前歯を折り奥歯で片頬を貫いた。――衣裳の洋服はたちまち朱にそまった。
そのまゝ楽屋へかつぎこまれたかれは一日一ト晩というもの意識を恢復しなかった。それほどの大怪我だった。が、一日隔いたそのあくる日は河岸の連中のある日だった。河岸の問屋の人たちが、古馴染のかれのため、大挙して見物に来てくれる日だった。それを思うと安閑とは寝ていられなかった。――勿論一人としてそれに反対しないものはなかったが、かれは無理から起きて繃帯のまゝ舞台へ出た。そうしていつもよりもっと冴えたところをかれはみせた。――それほど血気にみちたかれだった……
折った前歯は入歯によって以前通りにすることが出来た。が、頬の傷はそうは行かなかった。あとまで長く痕になって残った。――が、そうはいってもそれによって、その位な傷にはかえられないほどの徳をかれはした。