Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
香川県には有名な八朔の獅子駒がある。是も現在は米の粉をもって、見事な動物の形を作り並べて見せるので、この風習は中国地方に及び、これをタノモ人形などといって、男女の姿に似せたものさえ作った。尾張・三河の方面では三月の雛の節供の日に、やはり米の団子をもって鯛や鶴亀・七福神までも製作した。もうこうなると工芸と言おうよりも美術で、専門家の手腕を必要としたのであるが、しかし日本の民芸は発達している。民間にはしばしば無名の技術家があって、たった一日か二日で食ってしまう物に、かような手の込んだ製作を施して、少数の見物人を感動させていたのである。
しかしそれも是も、すべて水で練った生の穀粉の彫塑であったからできたのである。是がもし蒸した粉や穀粒であったら、つくね上げることは相応に困難であったろう。私たちが少年の頃には、酒屋の職人たちが酒の仕込みの日に、蒸した白米を釜からつかみ出して、ヒネリ餅というものを拵えていた。普通には扁平な煎餅のようなものしかできなかったが、巧者な庫男になると是で瓢箪や松茸や、時としてはまた人形なども作り上げた。蒸米は冷えるとすぐに固くなるので、熱いうちに手を火ぶくれにしてこんな技術を施したのであった。