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Japanische Klassiker mit Furigana

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もめんいぜんのこと

木綿以前の事

柳田 国男

Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme

Aozora Bunko

年の頃はまず三十四五、手拭をかぶり片襷をかけて、裾短に常の衣服を着ている。多分は茶屋の女房などが酒を運び、こうして機嫌を取っているのだろうと思ったが、よく見ると少しいては一つの座を切り上げ、葦簾を隔てた隣の店へ移って行く。そうしてそこにも同じ年配の女性が、まだ幾人か去来し、且つ手を打って歌っているのであった。芸者と名のつく者はこの土地にも相応におり、また格別他の場処とちがわない生活をしている。それと一括して呼ぶことはおそらく許されぬのであろうが、とにかくにこういう一種の歌い女の、今でもこの島にいることだけは私にわかった。

最初は或いは村からの同行者かとも思ったが、挨拶を聴いていると、爰へきて出逢った人々とも共に遊んでいる。こんな処へ出てくれば多くの知り人が有り、また歌の上手なことが予て知られているというのは、一体どういう境涯の女なのであろうか。職業ではないまでも何か報酬が有りそうなものだが、それを尋ねてみても笑っていて誰も教えてくれなかった。島にはああいう気の軽い女がいくらもいるのです。酒でも飲んで面白く騒ごうというだけで、ああして遣ってくるのですと言った人もあるが、私にはまだ腑に落ちなかった。