Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もめんいぜんのこと

木綿以前の事

柳田 国男

Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme

Aozora Bunko

そうかと思うと『続猿蓑』の夏の夜の章には、

藪から村へぬけるうら道       支考

喰かねぬ聟も舅も口きいて       翁

何ぞの時は山伏になる        曲翠

と言ったような例もあった。是は旅に出て活計を立てるかわりに、農の片手間に衆僧となって出るのであったが、それでも親子ともに口やかましくて、ただの百姓には憚られていた様子が見える。それの今少しはっきりとしているのは『ひさご』の初の一巻に、

入込に諏訪の涌湯の夕ま暮       曲水

中にもせいの高き山伏        翁

いふ事をたゞ一方へ落しけり      珍碩

是などは次が至って花やかな恋の句に続くために、その方に気をとられて人は注意しなかったが、旅の山伏の気味の悪い言いがかりの癖を、かなり活き活きと写し出している。

夕雨の篠懸乾しに舎りけり       斧卜

子を褒めつゝも難少しいふ      北枝

に至っては、穿ちに近いまでに山伏の山伏らしさを描いてある。禅僧も知らぬような鋭い機鉾を蔵し、それをやたらに常人の上に濫用して、威圧をもって世を渡ろうとしたのが後世の旅山伏であったらしい。そうして職業は政治家・弁護士などと変っても、まだ同じ方法を用いて生きようとする者が、今の日本にも若干は出くわされる。