Japanische Klassiker mit Furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme
九
前代文芸に対する我々の態度は改められなければならぬ。判らぬ部分のあることは覚悟するがよいのであるが、それもだんだんに小さくしてゆく見込はある。とにかくに作者彼らの境涯に入って見ようとすること、是が時代を知る一つの要訣である。
九
学問としての文芸理解は、決して近頃になって始めて唱えられたものではない。或る種の新たなる文芸の、特に一つの時代一つの国に起こらねばならなかった事情、それが民衆の過去生活のいかなる部分を表現しているかということを、尋ね究めようとした人は江戸の町学者の中にも幾人かあった。事業があまりにも断片的であるために、随筆などといって軽んぜられているが、京伝や種彦のいくつかの著述は先駆であって、同じ態度を一段と精透に、進めて行ったのが喜多村節信、すなわち『嬉遊笑覧』『画証録』『庭雑考』などの著者である。当然風雅の間に歯せられなかった市井人の以前の生活を、古い文芸の偶然なる記録の中から、探し尋ねてみようとした熱情は多とすべきであるが、なおその題目の都府に偏し、弘く農漁の生活に及ばなかったのは欠点であった。その上にあれほど多くの文献を渉猟したにもかかわらず、あまり時代が近いために、同じ方法を芭蕉翁の俳諧には及ぼさなかったのである。