Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もめんいぜんのこと

木綿以前の事

柳田 国男

Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし相手がこれを聴いて、百年という声に驚いたのは、是がはたして百年も忍耐し得べき状態であったかということであった。蒲原低地の周辺の村々には、自分の知る限りにおいても簀の子をかかぬ小家がつい近頃まであった。村の衛生係員が床の下を清潔にといって遣って来ても、どうしようもない土床の家が方々にあった。独り東北の一隅でなくとも、また小作農でなくとも、多くの小農の経済はカテ飯の上に立っている。節倹は道徳といわんよりもむしろ法則であった。この人々の生活は、下肥をきたないという点にまで感覚が進んでは、続けにくい労働でありまた消費でもあったが、これに基づいていわゆる生活の飢餓点は測定せられ、その境目の所に生活を支えしめる限度において、人口は増加したのである。医術が大分進んで赤子が死ななくなったかも知らぬが、永く生きない人が多くなった。急性の飢餓はなくなった代りに、慢性の凶作は常にあるようになった。四百四病の一つに算えるのは当然で、貧の病で死ぬ者は実はなかなか多いのである。全体の生存に対する全体の食料は、どう計算してみても決して豊かでないのに、そのまた分配法が大変によくない。