Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もめんいぜんのこと

木綿以前の事

柳田 国男

Lesen Sie 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.586 Zeichen · 348 Bildschirme

Aozora Bunko

現に離れ島や九州の外側海岸などには、今も豆腐は知っていても、家にはまだ挽臼を備えない例が稀なりとせぬ。『炭俵』の連句に、

江戸の左右むかひの亭主登られて    芭蕉

こちにもいれどから臼を貸す     野坡

方々に十夜のうちの鉦の音       芭蕉

という有名な一続きがあるが、前句が向いの亭主、受句が十夜だからこのから臼は、粉挽臼であることが察せられる。すなわちまだあの時代までは中央部の都会でも、家々に一つずつの石臼は無かったのである。から臼という言葉は今日の辞典を見ると、こんな石臼までは含んでいない。普通に「地がら」と呼ぶ地面へはめこんだ石の搗臼、是も『続猿蓑』には、

一石踏みしから臼の米         沾圃

などという句があるから、当時すでにこの「地がら」をもそう謂っていたのである。次には挽木を取附けた籾摺臼、是は籾殻を出すので殻臼だなどと謂う説もあるが、根っから当てにはならない。いずれにもせよこの二種のから臼では、前者は勿論貸借りができず、また籾摺臼も町中には有ろうとも思えぬから、別にもう一つの小形の石臼も、同じ名をもって呼ばれていたので、起こりはかえって此方にあり、廻わして引くという根本の法則が、ともに在来の搗臼とはちがっている故に、大小を通して唐臼と謂い、「地がら」