Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「じゃあ外を歩いていても、男に見えるわね」
「だがその膝行袴が少し変だよ、それじゃ第一、草履穿きでは恰好がつかない」
そう言われるとお蝶も気がついて、またその上に並の平袴を二重に穿いて、
「これならいいでしょう、スラリとして――」
「ウム、それならばどう見ても、旗本の御次男が、夜遊びにでも行くようだ」
「じゃ先生、ちょッと行って来ますから、大人しく家に待っていらっしゃいネ」
「おい、おい、お蝶さんや」
呼び止めるまに、すっと格子の音がして、お蝶は変ったその姿のままで、宵暗の露地へ出て行った様子です。
「あれ、もう行ってしまった」
馬春堂は格子の前まで出て来ましたが、急にソワソワとそこらを巡り歩きながら、何か考えていたかと思うと、戸閉まりもせずに続いて長屋を飛び出しました。
徒士町の四つ辻あたり、幾つもの提灯を棒鼻にブラ下げて、
「駕ウ――、駕ウ」
と白い息を吐いている駕かきの溜りがある。
「おい、駕を一挺」
「旦那、何処へ向けますか」
と馬春堂を乗せた駕屋が肩を入れかけます。駕の垂れには春らしく輪飾りが下がっていて、寒いうちにも春らしい夜風がさらさらとそれに触る。