Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
兌沢の水に離船をうかべ、ものに行き詰るの有様で、水意あれど船走らず、胸にジリジリと開けぬものがこだわッて、それがその、つい広小路から近いので度々お邪魔にくる馬春堂の故みたいに思われて、飛んだ飛ばッちりを食うという易のお言葉だ。――どうだいお粂さん、あたったろう、気をつけなくッちゃいけませんぜ」
と、膝をあぐらに組直して、馬春堂の針をふくんだ手酌のあいさつ、この八卦見も一癖以上はありそうです。
「なるほど、まあそんなことかも知れないねえ」
お粂は取り合わないふうに、かんざしの脚で、きせるの朝顔をほじりながら、
「見料にもう一本つけるから、さッさと飲んで帰っておくれ。今日は少し出かける用先を控えているんだから」
「よろしい、じゃぼつぼつ用談に取りかかろう」
と二ツ三ツ手酌を重ねて、
「ほかじゃないがお粂さん、あの奥に寝ている侍は、尾州の徳川万太郎の家来だろうね」
「それがどうかしたのかえ」
胸にギクリとくるものをかくして、お粂はわざと何気ない眉を馬春堂へ寄せながら、ぷッと煙管の吸口に息を鳴らしてかんざしを髪の根へ戻しました。
「なに、どうもしやしませんが、その相良金吾に違いなければ、どうだろう、わしにあの侍の体を一日貸してくれませんか」