Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
ですから御覧なさい、おどおどして落着いていませんや、無論、私たちが市へまぎれこむとすぐに、おやじは今戸焼の竈を打ちこわして、江戸の外へ逃げ出す寸法なんで……、なぜかって旦那、まごまごしていれば、すぐ仲間がその仕返しに命を助けてはおきませんからね。あいつらの怖ろしいことは、その仇をするっていう一念です」
囁いているまに、おやじは、指合図が向うに通じたと見て、
「親方、行って下さい」
「御苦労だった。じゃ相良様、こっちへ」
と、竈場の裏から隅田川の水際に添って行くほどもなく、そこは、厳重な陣屋門と言ってもいい材木屋の木柵。
雑多な舟が何艘となく纜ってある。柵の中へ入ると両側はズッと青竹と丸太の林で、八幡の藪知らずへ踏みこんだように、竹と丸太にすべての視野を遮った迷路が曲がりくねりして、やがて半町も行ったかと思うと、洞然たるつき当たりの暗黒と、青白い一点の灯がボッと見えました。
近づいてみると、立って自由に出入りのできるくらいな洞穴で、奥の方から何かガヤガヤ雑音が聞こえてくる。そこの口元に、めらめらと人魂のように見えたのは、鉄の灯皿につるされた魚蝋の炎でありました。