Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「乳母のお咲という女が、尼になっているつもりで、今夜此寺へたずねて来る」
「うまい手はずにゆきましたね」
「だが、おれはすこし考え直した。どうもお蝶を殺してはまずい」
「で、どうするつもりなんで?」
「笑ってくれ」
「親分……」
「は、は、は、は。笑ってくれ」
「親分、何を笑っていいんですか」
「実あな」
「へい? ……」
「おれはお蝶を女房にしようと思うのだ」
雲霧と四ツ目屋は黙って顔を見合せたのみです。
余人なら知らないこと、日本左衛門が自分の口から、お蝶を女房にしようかと考えている――というのですから、ちょっと口が出しかねました。
「親分」
その時、方丈の横のふすまが、音もなく開いていました。
そこに突くばっている九兵衛を見て、
「おう、秦野屋か」
「よろしゅうございますか。今、裏の方へ廻ろうと思ったら、木戸が閉まっておりますんで」
「仲間うちだ。なんの遠慮があるものか」
「ごめんなすって下さい。お、稲吉も来てくれたか」
「ゆうべ、兄貴からくれた飛脚を見て、何はおいてもやって来たのよ」
「御苦労だなあ」
新助や仁三にも会釈をして、
「やれ、こうしてみんなと膝をくむのも、何か、たいそう久し振りのような気がする」