Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
もう、なつかしい高麗村はすぐそこです。
今夜、月江は八王子の宿に泊って、あしたの朝早く、馬を雇って武蔵野を横切ろうといったのですが、次郎が、
「いいえお嬢様、夜の旅もいいものですよ。秋の晩はなおいいものでございますよ。高麗村だって、もう半夜も歩けば行き着くじゃございませんか。歩きましょうよ。歩きましょうよ、ここまで来て一晩泊るなんてばかばかしい。それに、決して道に迷うことはありゃしません、武蔵野といえば次郎の巣のようなものですからね」
強ってそういうものですから、彼の意にまかせて、宿をとる時刻の千人町を通り越して来ました。
そして、一歩武蔵野へはいると、秋草のしおらしさ、虫の音のおもしろさ、足のつかれも、たそがれのさびしさも忘れるほどですから、次郎の言に従って来て決して後悔がありません。
「ほんとに、夜の旅もおもしろいね」
次郎の背なかにおぶさりながら、月江がこういって興がりました。
彼は、その月江を背におぶって、熊川の浅瀬をえらびながら、
「昼間だったら、いくら人がいない所でも、きまりが悪くって、こんなことはできやしないでしょう」
と、ザブ、ザブと清冽へ足を入れて行きます。