Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「しまった!」

と、唇を破って胴の間に立ちました。

同時に、上の方から直線に流れて来た小舟のそばで、ドボーンと白い水煙が揚ったのです。

ダブリ――と大きな波紋が、次第に大川の両岸へひろがって行くのを眺めて、

「親分、間に合いませんでしたよ」

と、がッかりしたように、櫓の力を抜いたのは、舟尾に立っている率八という男です。

「ちぇッ、だから早くしろと言ったのだ。だが、飛び込んだのは、男か、女か」

「それがネ親分、あっしの見た見当じゃ、女の方が野郎を川の中へ突き飛ばしたように見えたんですが……」

「おれもそう思ったが、それにしては少し妙だ、おお、娘は苫の蔭に立っている」

「じいッと川の中を見つめていますよ、何だか凄い娘じゃありませんか。……オヤ、こッちの舟に気がついたと見えて、急に、舟底へ姿を隠しましたぜ。――かまわねえからあの舟を取ッ捕まえて見ましょうか」

「待て待て。向うで影を隠したのは、おれの舟に気がついたためじゃねえ、上流の方からお船手の見廻り船がやって来たのだ」

「あっ……成程」

「と言って、あわてて逃げ出すなよ、逃げるとあいつは二挺櫓で追いかけて来る。いつもの通りにしていればよいのだ」