Japanische Klassiker mit Furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme
りんどう
一
彼は、胸の底で、そう呼んでいた。その思いは宇宙を翔けて、配所の異母兄へ通じるであろうと信じていた。
りんどう
一
この国の地殻には、火の脈が燃えている。温泉のわく所が多い。
山もまた、いつ火を噴くか知れない性質をもっている。富士、愛鷹、箱根連山など。――総じて、この半島伊豆の地上では、そうした風土や自然が、人間の容姿や気風にまでよく映っていた。
いったいに、男でも女でも、早熟であった。情熱に富んでもいた。しかし、山地が多く物産が乏しいので、一面には質素で、豪古の風を尊んだ。――また、海に接しているせいか、進取的だった。遠い僻地でありながら、常に都の風聞とか中央の政情などにも、関心を持っている者が多かった。
ことしはもう安元二年。
安元二年というと、元服した九郎義経が、ここから近い足柄山を越えて、奥州へ下って行ったその年から二年後である。
時に、右兵衛佐頼朝は。
指を繰ってかぞえてみると、ここの配所へ送られて来てから、ちょうど今年で十七年目になる。
年は二十九歳。
「三十にして立つ」
という古語を、彼もことしは、人知れず心に呟いていたのであろう。
けれど、彼の十七年の配所生活は、至って穏やかなもので、むしろ平和に倦むくらいなものだった。