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Japanische Klassiker mit Furigana

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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「ご免を」

と、部屋を退がって、朝成の前から一時、姿を消してしまった。

「…………」

朝成は、まだ不きげんが去らない。苦虫をかみつぶしたように、眩い初夏の庭面へ、虚に眼を向けていた。

もう九年も前だが――

清盛の口から、不愍な女があるが、後添えに娶ってやらぬかといわれ、六波羅殿の声がかりではあるし、自分が迎えてやれば、その不遇な女性も救われる事情にあるとの事に、

(娶りましょう)

と、三人の子連れのまま、後妻として迎え容れたのだった。それが、常磐であった。

正室としてからは、彼女の名も更え、子供らもそれぞれ、清盛の内意によって、他へ処分をつけたが、世間は、

(もの好きな……)

とか、

(何か深い事情があってに違いない)

とか、

(何もああまで六波羅どのに媚びて、出世を計らないでもよかろうに)

などと、何か私慾のためにでもしたように、ひどく陰口を云われたものであった。

もっとも、世間の通念からすれば、源氏に由縁のある者でも、極力、平家方へ迎合するが時勢に沿うというもので、何も特に、複雑な事情にある子連れの女を、いくら後添えにせよ、持つ要はない。持つからには、何か、それに代る利得があるからに違いない――と、痛くもない腹をさぐるのは、むしろ当り前とも云えるのだった。