Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme
一羽の雁
一
政子は、その日から、秋戸郷へ身を潜めて、もう尼院へは帰らなかった。
一羽の雁
一
九月の空も、海の碧も、澄みきった秋の昼だった。
下総の寒川べりを、うろついている旅の商人風の男がある。橋の口を、幾度か行ったり来たりしていた。
七月頃から、橋口には、交代で見張りの武士が立ち始めている。――伊豆半島とこの地方とは、海を隔てているとはいえ、晴れた日には、鮮らかに見えもする対岸にある。
当然、伊豆に揚がった波濤は、ここの岸へも搏って来た。
下総、上総、安房、それぞれ派別を明らかにし始めた。いや、自身はその何れにも偏せず、自重しているつもりでも、もう環境がゆるさないのである。
(某は、源氏くさい)
(誰と誰は、どうなっても、平家方をうごくまい)
そう人々が色別けを押しつけて観るし、また、頼朝の旗挙げなるものが、ここではその実力以上に思われていたので「源氏方」という言葉が、ここでは平家方と対立して、通り言葉に使われていた。
頼朝の人間的評価も、地元の伊豆よりは、この地方のほうが、より高く買われていた。彼が伊東祐親入道のむすめと恋をしたり、配所へ亀の前をひき入れたり、北条家の政子とも同様に浮名をながしたり――そんな半面的な些事がいちいち伝わっていないだけでも、地元の人々よりは、遥かに、尊敬を持たれていた。