Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme
夜半も過ぎたろう。渡りきった千余騎は、なおさら行軍をひそかにして、平家の陣のうしろへ迂回った。低い雨雲にも、ふかい夜霧にも、篝りが赤く映えていた。その辺りいちめんが、平家五万余騎の夢をつつんでいる陣地とながめられた。
大きな沼にさしかかった。北方にこの富士沼があるため、平家方では、上流の守りを安心しきっていたのである。もちろん武田太郎信義たちは、葭や葦を踏んで越えられそうな湿地を探って、ざわざわとそこをも渡りかけた。
すると、何千羽とも知れない水禽が、いちどに翼を搏って飛び立った。面々の駒は愕いて、幾頭かは沼水の深いところへ跳ねこんだ。
「すわ、敵の大軍が」
と、あわてたのか、その時、平家の陣所の方で、海嘯に追われた人間の悲鳴を思わすような喊の声があがった。
どんな事が世上に起っても、驚くことを忘れていた平家の人々は気も萎え、腰もぬかすほど、今、一斉に驚きを知った。
四
頼朝は、侍臣に、呼び起された。
「何事が起ったやら分りませぬが、平家勢が、遽になだれ合って、逃げ行く様子でござりますが? ……」
夜明け前に、渡河を決行する予定なので、彼は、鎧も解かず、身を横たえていただけだった。