Japanische Klassiker mit Furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lesen Sie 源頼朝 (みなもとよりとも) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 306.118 Zeichen · 613 Bildschirme
「聡明なお方に似あわず、猜疑はおふかいと聞いています。偉きな人物にも、小さい愚は誰も持っているものだ」
「――とあればなおさら、死を賭しても、わし達は、鎌倉殿へ直接お訴えしてみるのが、残されたただ一つの道ではあるまいか」
「それも、讒者に悪用されるだけでしょう。鎌倉殿のお憎しみは、九郎様へ深まるとも、薄らぐはずはありません。――それ程、あなた方が、ご主君を思うならば」
と、吉次の眼はそこで急に燃えつきそうに二人へ迫って来た。彼は、からだまでのり出して、声をひそめ、思い入れをしてから云った。
「どうです、いっその事、源九郎様を立てて鎌倉殿の手から離れるように謀っては。――次の時代に鎌倉殿をいただくがよいか、義経様をいただく方が世の為によいか。……そこですよ、手前はひとり考えているので」
「では、鎌倉殿へ弓をひけとそちは、云うのか」
「ま。そういうわけです」
平然と、吉次は答えた。
五
吉次の謀叛気にも組せない。
そうかといって、鎌倉殿へ直訴のことも、効果は疑われる。
佐藤兄弟は、迷った。
奥州へ帰る気は元よりない。吉次のいる寺に、ふたりもつい幾月かをなす術もなく暮していた。